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 国環研など、室内の空気環境と子どもの発達について報告(エコチル調査)

発表日:2022.01.25


  国立環境研究所と長崎大学を中心とする研究グループは、子どもが3歳の時点で室内の空気汚染物質濃度が高いことと、子どもの精神神経発達に関する指標が低くなること(発達が遅れ気味であること)が結びついていることを発見した。胎児期から幼少期の大気汚染物質ばく露が、発達の遅れや生涯にわたる精神神経発達に影響する可能性が指摘されている。同研究グループは、エコチル調査(正式名称:子どもの健康と環境に関する全国調査)の詳細調査に参加した約5,000人(世帯)を対象として、家庭訪問を行い、室内(家庭内)の空気環境を測定するとともに、保護者に発達評価ツール「ASQ-3(Ages and Stages Questionnaires, Third Edition)」を配布し、1歳時・3歳時の状況について記入・回答を依頼した。今回、それらの調査結果を集計・解析したところ、3歳時点で、揮発性有機化合物(VOC)のひとつ「キシレン」の濃度が高いほどASQ-3スコアが低くなることが判明した。また、さまざまな室内空気汚染物質(PM2.5、オゾン、二酸化窒素、二酸化硫黄およびVOC)の影響をまとめて解析した結果、総じて、3歳時点での室内汚染物質濃度が高いこととASQ-3スコアが低いことについて関連があることが分かった。今回の調査で確認されたキシレン等の濃度は、厚生労働省の定める室内濃度指針値よりも低い値であった。低濃度の室内汚染物質ばく露であっても、子どもの発達に影響する可能性がある、と付言している。

情報源 国立環境研究所 報道発表
機関 国立環境研究所 長崎大学
分野 健康・化学物質
キーワード オゾン | 揮発性有機化合物 | PM2.5 | キシレン | 大気汚染物質 | エコチル調査 | 空気環境 | 精神神経発達 | ASQ-3 | 室内濃度指針値
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