甲南大学大学院自然科学研究科・久原教授らの研究チームは、線虫を用いた実験により、体の温度への慣れ(温度順化)に関わる新たな温度感知の仕組みを発見した。本研究は、ヒトの目における光受容体であるロドプシンなどと同じファミリーに属するGタンパク質共役受容体(GPCR: G protein-coupled receptor)が、温度感知において重要な役割を果たすことが明らかにしたもの。具体的には、線虫C. エレガンスを用いて、温度順化に関わるGPCRの探索を行い、約1000種類の三量体タンパクの中から「SRH-40」という受容体が深く関与していることを突き止めた。SRH-40が欠損した線虫では、温度への適応能力が低下し、特定の温度受容ニューロンの反応が鈍化していた。逆に、このGPCRを線虫の味覚ニューロンやショウジョウバエの細胞に導入することで、これらの細胞が温度に反応するようになることが確認された。動物がどのようにして周囲の温度変化に適応するかの分子メカニズムを解明するものであり、特にGPCRが温度受容に関与することを示した世界初の発見となる。感覚の分子メカニズムはヒトから線虫に至るまで保存されている。本成果は、ヒトを含む動物における温度感知のメカニズムの理解を深めるだけでなく、温度関連の疾患の原因解明にも寄与する可能性がある(掲載誌:Nature Communications、DOI: 10.1038/s41467-024-46042-z)。
情報源 |
甲南大学 NEWS
生命創成探求センター HIGHLIGHT 生理学研究所 プレスリリース |
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機関 | 甲南大学 生命創成探求センター 生理学研究所 |
分野 |
健康・化学物質 自然環境 |
キーワード | ゲノム編集技術 | 温度受容ニューロン | 温度順化 | カルシウムイメージング法 | GPCR | Gタンパク質共役受容体 | RNA干渉法 | 味覚ニューロン | 光受容体ロドプシン | 環境適応メカニズム |
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