森林総合研究所は、食塩水を用いてメスを選択的に捕獲できる可能性があることを実証した。ニホンジカによる農林業被害は全国的に深刻であり、個体数を効率的に減らすことが喫緊の課題である。特にメスの捕獲は個体数の減少に効果的であるが、これまでメスを選択的に捕獲する方法はなかった。―――研究チームは、シカのミネラル要求量には雌雄差があるという仮説を立て、熊本県水俣市の県有林内で、エサとして食塩水を用いる実験を行った。その結果、メスは出産・授乳期である春から初夏にかけて食塩水を頻繁に飲むことが確認された。設置から1ヶ月程度は警戒心のためか飲みに来ないが、その後は頻繁に飲むようになる。また、メスが塩水を合計で1009回飲んだ一方で、オスはわずか147回しか飲まず、季節変化も見られなかった。このことは、食塩水がメスを選択的に誘引するための「エサ」として有効であることを示している。ニホンジカの個体数管理において重要な知見であり、シカ害に苛まれている全国各地への展開が期待される。本成果は、2024年6月19日にEuropean Journal of Wildlife Research誌でオンライン公開された。