農林水産省は、東京証券取引所(東証)カーボン・クレジット市場の「売買の区分」が2025年1月に変更され、“農業分野の方法論に基づき発行されたクレジット”を専ら取引する場が新設されることをPRした。──2023年10月に開設された東証カーボン・クレジット市場では、省エネ・再エネ(電力)・再エネ(熱)・森林ごとに、排出量1トン単位の取引が行われている。今回新たに、「農業(中干し期間の延長)」と「農業(バイオ炭)」の農地施用が設けられることとなった。前者は、水稲栽培で通常行われている「中干し(読み:なかぼし)」の期間を7日間以上延長することで、メタン生成菌の活動を抑制し、水田由来メタンの発生量を低減する技術に立脚している。また、後者は、木材や竹などを炭化し、バイオ炭として土壌に施用することで、大気中へのCO2放出量を低減する手法に基づいている。──同省が推進している「みどりの食料システム戦略」において、GHG排出量削減は重要な柱となっており、関連プロジェクトの登録件数や認証量は年々増加している。今回の売買区分の変更をきっかけに、農業分野をはじめとするJ-クレジットの流動性が向上し、取引の流動性が増し、より活発化することが期待される。