国立極地研究所を中心とする研究グループは、グリーンランド北西部で掘削したアイスコアを用いて、過去350年間のブラックカーボン(BC)の濃度と粒径を高精度で復元した。──本研究により、BC濃度の長期的な経年変化パターンが冬と夏では異なることが明らかになった。冬のBC濃度は19世紀後半から増加し、20世紀初頭にピークを迎えた後、産業革命以前のレベルにまで低下した。一方、夏のBC濃度は若干の減少傾向が見られた。また、BCは起源ごとに粒径が異なり、化石燃料起源のBCは森林火災起源のBCよりも粒径が大きいことが初めて明らかになった。また、BCが雪面のアルベドを低下させる影響も計算され、今後の温暖化による氷床の融解を予測する上で重要なデータが得られた。BCの輸送、沈着過程についての理解が進み、排出量データ、エアロゾル・モデル、気候モデルの高精度化に資することが期待できる。──今後は、他のアイスコア中のBCについても高精度・高時間分解能で分析し、地域差を研究する予定となっており、21世紀に入ってからの詳細データを取得・解析し、近年の大規模森林火災の影響を調査する予定だ。
情報源 |
国立極地研究所 研究成果
名古屋大学 研究成果発信サイト 東京大学大学院理学系研究科 Press Releases 北海道大学 研究成果 |
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機関 | 国立極地研究所 名古屋大学 東京大学大学院理学系研究科 北海道大学 |
分野 |
地球環境 自然環境 |
キーワード | 化石燃料 | 濃度 | グリーンランド | 森林火災 | 温暖化 | ブラックカーボン | アイスコア | 氷床融解 | 粒径 | アルベド |
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