宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立極地研究所は、北極の冬季海氷域面積が3月20日に衛星観測開始以来の最小値となる1379万平方キロメートルを記録したと発表した。JAXAと国立極地研究所は、北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)の一環として、循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)に搭載された高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)のデータを用いて、40年以上にわたる長期的なデータセットを整備するとともに、南極・北極の海氷域面積の時間的・空間的な変化を可視化し、北極域データアーカイブシステム(ADS)を通じて公開している。両者のプレスリリースには、北極海の海氷密接度分布や、1979年から2025年までの北極海氷域面積の変化が図示されている。2025年度には「AMSR2」の後継である「高性能マイクロ波放射計3」(AMSR3)を搭載した温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」の打上げが予定されている。北極海氷域面積の減少は、地球規模の気候変動と関連する現象であり、将来の気象や海洋環境への影響が懸念される。今後も極域の海氷観測が継続され、モニタリングと分析、それら成果の情報発信が続けられる予定だ。