カゴメとキユーピーは、トマトの茎葉やキャベツの芯・外葉など、これまで廃棄されてきた野菜残さをバイオ炭化する共同研究を開始した。この取り組みは、両社の顧客や契約農家、サステナビリティ・IR(投資家向け情報開示)を意識した取り組みの一環として行われる。背景には、「みどりの食料システム戦略(農林水産省)」におけるバイオ炭の位置づけや農地施用の推進施策がある。本研究の目的は三つ。第一に、水分含有量の高い野菜を効率的に炭化する技術の確立。第二に、野菜由来バイオ炭の施用による土壌改良や作物生育への効果検証。第三に、CO2固定化と排出削減を通じたカーボンネガティブな事業モデルの構築である。将来的にはJ-クレジット制度の活用も視野に入れている。今後は、炭化条件や脱水条件の最適化、バイオ炭の試験製造と農地への施用試験を段階的に進める予定だ。──食品メーカーが農業資源の循環に踏み込むこの動きは、単なる廃棄物削減にとどまらず、気候変動対策と地域農業の再構築を同時に進める試みとして注目される。