北海道奥尻町とENEOSは、「ブルーカーボンを活用した脱炭素社会の実現」に向けた連携協定を締結した。調印式には環境省および北海道庁の関係者も臨席した。
ブルーカーボンとは、海藻や海草などの海洋植物が光合成によって吸収・固定するCO2のことであり、近年では森林が吸収・固定するCO2(グリーンカーボン)と並び、自然由来の炭素吸収源として注目されている。奥尻町のように海洋資源が豊富で海藻類の生産が盛んな地域は、ブルーカーボンの創出源と見られており、地域と企業が協働する新たな環境施策の展開が期待されている。
本協定では、ENEOSがブルーカーボンに関する検討および実証試験を実施し、奥尻町が漁業者など地域関係者と連携して協力する体制を構築する。ENEOSはこれまでにも海藻藻場再生事業を通じて「Jブルークレジット」の認証取得を進めており、今回の協定は既存施策の延長線上に位置づけられている。──奥尻町は環境省の「脱炭素先行地域」に選定されており、2030年までに民生部門の電力由来CO2排出実質ゼロ、2050年までに町全体の排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言している。一方、ENEOSグループはScope1・2の排出量を2040年度までに2013年度比で73%削減し、2050年度にはカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。
両者は今後、知見を結集し、地域創生とカーボンニュートラルの両立を図る取り組みを加速させる方針だ。