理化学研究所は、AIを活用し、環境低負荷型プラスチック材料の設計サイクルを高速化する手法を開発した。本成果は、分解性と耐久性など複数の物性を同時に満たすプラスチック材料の迅速な設計を可能にする技術的基盤を提供するものである。
研究チームは、時間領域核磁気共鳴(TD-NMR)法を用いて材料の分子ダイナミクスを30分以内で簡易に評価し、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によってノイズ除去と特徴抽出を行った。さらに、CNN内部のGAP層から得られる特徴量をベイズ最適化に適用することで、従来の物性値を直接参照する手法と同等の性能を達成した。その結果、従来30日以上を要していた分解試験などの評価工程を大幅に短縮し、材料開発のボトルネックを解消する可能性が示された。──TD-NMRは、非破壊かつ高速な測定が可能であり、永久磁石を用いることで低コストかつ資源制約の少ない装置構成が可能である。今回の研究では、複雑な信号に含まれる多様な情報を「AI聖徳太子」が聞き分けるように処理することで、複数の物性情報を一度に取得・解析する新たなアプローチが拓かれた。
本手法は、材料工学と情報工学の融合領域であるマテリアルズインフォマティクスの進展に寄与するものであり、食材開発や食料生産など他分野への応用も期待される。チームディレクターは、「複雑な情報を効率的に解析するAI技術の導入により、環境負荷の少ない材料開発が加速する」と述べている(掲載誌:npj Materials Degradation)。
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情報源 |
理化学研究所 研究成果(プレスリリース)
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機関 | 理化学研究所 |
分野 |
ごみ・リサイクル 環境総合 |
キーワード | 生分解性プラスチック | マテリアルズインフォマティクス | 畳み込みニューラルネットワーク | 環境低負荷型材料 | TD-NMR | ベイズ最適化 |
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