日立製作所、イトーキ、トクヤマの3社は、使用済み太陽光パネルから回収した板ガラス(以下「PVガラス」)を粉砕せずにオフィス家具へ再利用するアップサイクル技術の実証を行った。
太陽光パネルの廃棄に伴い発生する板ガラスは粉砕され、路盤材やガラス原料として再利用されることが多かったが、PVガラスをそのまま再利用するには、屋外使用による亀裂やアルカリ溶出などの劣化評価が課題となっていた。――本実証では、トクヤマが開発した低温熱分解法により、太陽光パネルから高品質な板ガラスを効率的に回収。日立は、非破壊強度推定技術を用いて、亀裂やアルカリ溶出の影響を複合的に評価し、安全性と耐久性を確保した。さらにイトーキは、回収ガラスの個性を活かしたWeb会議ブースを試作。視線を遮る意匠材として活用し、合わせガラス化やスチールとの混合構造により強度を保持した。
今回の取り組みにより、新規製造と比較して最大50%のCO2排出量削減が見込まれている。排出係数はIDEAおよび環境省の算定指針に基づき算出された。今後は、建材分野など多様な領域のパートナーと連携し、サプライチェーン構築や事業モデルの検討、品質評価技術の標準化を進める方針である。
3社は本成果を、2025年度資源・素材関係学協会合同秋季大会にて発表し、業界全体での協創と標準化を呼びかけるという。今後、日立は再生材マーケットプレイスの構築やサーキュラーエコノミー連携研究ラボとの連携を通じて、社会実装を加速させる構えである。イトーキは空間デザインと人的資本の最大化を軸に、サステナブルな製品開発を推進。トクヤマは環境分野への事業展開を強化しており、板ガラスのアップサイクルは、脱炭素と資源循環型社会の構築に資する技術と位置づけている。
情報源 |
日立製作所 ニュースリリース
トクヤマ |
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機関 | (株)日立製作所 (株)イトーキ (株)トクヤマ |
分野 |
ごみ・リサイクル |
キーワード | 資源循環型社会 | サーキュラーエコノミー | アップサイクル | CO₂排出削減 | 太陽光パネル廃棄 | 板ガラス再利用 | 低温熱分解法 | 非破壊評価 | 再生材マーケットプレイス | 建材利用 |
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