神戸大学大学院工学研究科・科学技術イノベーション研究科の研究グループは、「代謝改変した大腸菌」を用いて、100%バイオ由来のPET代替原料「2,5-ピリジンジカルボン酸(2,5-PDCA)」を高効率に生産する技術を開発した(掲載誌:Metabolic Engineering)。
2,5-PDCAは窒素を含む芳香族化合物であることから、石油由来のテレフタル酸に代わる新規プラスチック原料として注目されている。従来の化学合成法では副生成物が多く、効率的な大量生産が困難であったが、本研究では「先に窒素を酵素反応で組み込む」という独自の代謝設計を導入。複数の代謝モジュールを組み合わせた大腸菌の改変により、バイオリアクターで10.6 g/Lという世界最高水準の生産量を達成した。培養液から分離・精製された2,5-PDCAは、100%バイオ由来であり、PET代替原料としての実用化できることも確認された。
本技術は、石油資源への依存を減らし、CO2排出削減にも貢献する持続可能な材料設計の一助となることが期待される。研究者らは、「自動車部品、建築資材、電子材料などの産業用途に加え、ペットボトルや食品包装、日用品など身近な製品への応用も期待できる」と述べている。なお、本研究は、JST戦略的創造研究事業「さきがけ」およびJSPS科研費の支援を受けて実施された。
情報源 |
神戸大学 プレスリリース
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機関 | 神戸大学 |
分野 |
ごみ・リサイクル 環境総合 |
キーワード | バイオマス | 大腸菌 | 窒素固定 | CO₂削減 | バイオ由来プラスチック | PET代替原料 | 2,5-PDCA | 代謝改変 | 持続可能な材料設計 | JSTさきがけ |
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