産業技術総合研究所(産総研)バイオものづくり研究センターは、医療機器・除菌剤・消毒剤の開発などを手がけているEテック(本社:神戸市須磨区)と共同で、オゾンをイソパラフィンに混和することで殺虫効果を高める技術を開発した(掲載誌:Scientific Reports)。
従来の化学的殺虫剤は即効性に優れる一方で、標的外生物や人体への影響、害虫の抵抗性発達などの課題があった。これに対し、物理的殺虫剤は気門封鎖による窒息効果を利用するが、即効性に乏しい点が課題とされてきた。イソパラフィンは気門封鎖剤として知られていたが、殺虫活性が限定的であったため、実用化は進んでいなかった。
本研究では、イソパラフィンにオゾンを混和することで、殺虫効果と即効性が大幅に向上することを確認した。クロゴキブリや蚊では死亡までの時間が最大で7分の1に短縮され、シロアリやカメムシでは死亡率が100%に達した。走査電子顕微鏡による観察では、オゾン添加により気門周辺の被覆が増大し、気門封鎖の効率が高まっていることが示された。オゾンの化学反応性がイソパラフィンの粘性に影響を与えた可能性がある。
研究チームは、イソパラフィンとオゾンの組み合わせが人体に対して安全性が高く、害虫の抵抗性が発達しにくいことから、衛生害虫や農業害虫、家屋害虫、貯穀害虫などへの応用が可能だとみている。また、本技術は、持続可能で低環境負荷な害虫防除資材の開発に貢献するものであり、農林水産省が掲げる「みどりの食料システム戦略」における、2050年までの化学的殺虫剤使用量50%削減という目標にも合致すると訴求している。
| 情報源 |
産総研 ニュース(研究成果)
Eテック ニュース |
|---|---|
| 機関 | 産業技術総合研究所(産総研) (株)Eテック |
| 分野 |
健康・化学物質 |
| キーワード | オゾン | 農業害虫 | みどりの食料システム戦略 | 低環境負荷 | 害虫防除 | 物理的殺虫剤 | 気門封鎖 | イソパラフィン | 抵抗性 | 衛生害虫 |
| 関連ニュース |
|
