東京大学は、大気中に浮遊するエアロゾル粒子とオゾンの表面反応において、1分以上存在できる長寿命の活性酸素中間体が生成していることが明らかになったと発表した。この中間体は、がんやアレルギーを引き起こす有害な大気汚染物質を生成し、重大な健康影響を引き起こすという。今回の研究成果は、同学大学院理学系研究科博士課程の白岩学氏が、留学先であるドイツのマックスプランク化学研究所の研究者らと発見したもの。この長寿命中間体の発見により、10年以上も謎とされてきた、オゾンの表面での吸着時間に関する実験と理論値の間の10億倍ものズレの矛盾が解明された。今後、この活性酸素中間体が大気中や生体内でどのように生成され、それがどのような化学反応を引き起こすかを明らかにすることで、大気汚染物質による健康影響の解明がさらに進むものと期待されるという。