(独)農業環境技術研究所は、国内各地の試験研究機関、日本アルコール産業(株)などと共同で、低濃度のエタノールを利用する新たな土壌消毒技術を開発し、実施マニュアルと技術資料を公開した。人や環境に優しい新規な土壌消毒技術が求められるなか、土壌消毒効果の得られるメカニズムの解明、作物と病原性土壌微生物に対する適用性の拡大と実証、土壌還元消毒法の最適化に取り組んできた。今回開発した技術は、1%程度に希釈したエタノール水溶液を農地に十分にしみ込ませて湿潤状態にし、農地表面を農業用ポリエチレンシートで2週間程度被覆するというもの。エタノールの直接の殺菌効果ではなく、エタノールをエサとする土壌微生物を増殖させ、土壌中の環境を無酸素(還元)状態とすることで、病原性の土壌微生物などを減少・死滅させる。今後、同技術の適用範囲をさらに拡大するとともに処理方法の最適化をすすめることで、広く利用されることが期待されるという。