アメリカ環境保護庁(EPA)は、発電所から排出される水銀やヒ素などの有害な大気汚染物質に関する初の環境基準を提案した。発電所に対し、広く利用可能な実証済み公害防止技術の導入を求め、神経障害を引き起こす水銀、発がん性のあるヒ素、クロム、銅などの有害金属、酸性ガスなどの排出削減を目指す。これにより早死、心臓発作、小児ぜんそく、急性気管支炎の発症を軽減し、医療機関の利用、病気による欠勤の減少にもつながるという。EPAでは、1990年の大気浄化法改正以来、発電所から排出される有害大気汚染物質に対してさまざまな対策を講じてきたが、20年を経てようやく国レベルの基準が設けられることになった。今回提案された基準は、大統領令に従い、最新のデータに基づいて設定されたもので、発電所側も対応しやすいよう、既存の技術を利用し段階的に実施される。実施コストより健康上、経済上の利益のほうがはるかに上回るのは確実で、その総利益は年間1400億ドルにものぼると推定される。今後この提案に対し、パブリックコメントや公聴会を通じ、さまざまな利害関係者からの情報や意見を最終基準に反映させる。