欧州委員会(EC)は、ナノ物質のEU規制について再検討した報告書で、ナノサイズ(1~100ナノメートル)の物質のリスク評価をケースバイケースとする方針を示した。ナノ物質は、タイヤや歯磨き粉等の日用品から、食品粉末の抗凝固剤、腫瘍の治療、リチウムイオン電池に至るまで、様々な分野で応用されている。その世界市場は1100万トン、金額にして200億ユーロと推定され、今後も成長が見込まれている。一方で有害性の懸念も高まっているが、多様なナノ物質を一括してリスク評価を行うのは難しいため、ECでは、EU科学諮問委員会等の見解を踏まえ、通常の化学物質同様、ナノ物質も適切な情報に基づき個別に評価すべきとした。重要な課題は主に、ナノ物質の検出・特性評価・分析方法の確立、十分な有害性情報の収集、曝露評価方法の開発だという。ナノ物質のリスク管理については、REACH規則の枠組みで行うが、より具体的な要件が必要であり、ECは今後同規則附属書を一部修正する考えを示した。関連情報源を網羅したウェブサイトも立ち上げるという。