国立環境研究所と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、主要な温室効果ガスである大気二酸化炭素(CO2)の地球全域に渡る吸収排出量について、地上・衛星観測データを用いた推定手法を比較・評価し、北半球中高緯度地域では信頼のできる推定が可能になったと発表した。これは、以下の2つの手法が推定する近年のCO2吸収排出量の整合性を調査したもの。1)温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)が測定する大気CO2濃度からCO2吸収排出量を推定する手法、2)CO2吸収排出量の地上観測ネットワークを機械学習モデルによって経験的に広域化する手法。その結果、北半球中高緯度域で、2つのCO2吸収排出量の推定が非常に高い整合性で合致することが判明した。一方、熱帯域では、1)に比べ2)でCO2吸収量を過大に推定する傾向にあり、これは、熱帯域での地上観測が不足していることから生じると考えられる。この結果は、熱帯域の地上観測ネットワークを充実させることが、今後のCO2吸収排出量の正確な把握につながることを示唆しているという。