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 神戸大など、小児ぜん息患者数に影響をおよぼす社会・環境要因を報告

発表日:2021.11.12


  神戸大学と神戸こども初期急病センター等からなる研究グループは、2020年に発令された緊急事態宣言(兵庫県:4月7日~5月21日)により、神戸市において小児気管支喘息の受診者数が減少したことを解明した。小児気管支喘息は、感染症、気象要因、アレルゲン(花粉や黄砂)、大気汚染物質(PM2.5、SO2等)などによって発症、増悪すると考えられている。しかしながら、病態生理については不明な点も多く、季節変動や年変動に関する詳細な調査分析は行われていなかった。同研究グループは、2011~2020年の間に神戸こども初期急病センターで受診した16歳未満の患者のうち、気管支喘息と診断された患者7,476人を対象とする大規模な調査を実施した。その結果、調査期間全体の患者数には毎年2つのピーク(春・秋)が現れることや、このピークが2020年春には消失し、同年秋には例年どおり再現されていることを発見した。さらに環境要因との関係を解析したところ、患者数と平均気温に有意な正の相関が認められ、5歳以下の小児ではSO2濃度と有意な正の相関関係が示唆された。一方、インフルエンザ等の感染症、気象現象・天候、アレルゲン、他の大気汚染物質との相関関係は認められなかった。2020年春は、大気中のSO2濃度が大幅に低下した。緊急事態宣言の発令による人的交流の減少、手洗いやマスク等の習慣化による衛生環境の改善が相まって患者数の減少につながったと考えられ、同年秋には、こども達の交流などが従来レベルに戻り、ウイルスや環境汚染物質への暴露リスクが増加した可能性があると推測している。

情報源 神戸大学 研究ニュース
機関 神戸大学 (一財)神戸市小児救急医療事業団
分野 健康・化学物質
キーワード SO2 | 感染症 | 大気汚染物質 | アレルゲン | 緊急事態宣言 | 小児気管支喘息 | 気象要因 | 人的交流の減少 | 衛生環境の改善 | 暴露リスク
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