九州大学、鹿児島大学および海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、SNSを活用したごみ調査ツールを提供する(株)ピリカと共に、海岸などに捨てられたプラスチックごみの画像を収集・分析する住民参加型プロジェクトを立ち上げた(実施期間:2022年1月~2025年3月予定)。このプロジェクトは、海洋プラスチックの供給源となる海岸の漂着ごみの総量算定や、それらの時間変化を追跡する手法の確立を目指すもの。今回、地域住民が無償スマホアプリ「ごみ拾い SNS『ピリカ』」から投稿したごみ画像から、プラスチックごみの画像のみを抽出し、ごみの種類(ペットボトル、レジ袋など)や被覆面積を自動判別する仕組みの検証を先行実施する。市民が撮影した画像は鹿児島大学やJAMSTECに送信され、「深層学習」を用いてごみ画像の判別が行われる。九州大学応用力学研究所が研究代表を務める2つの既往プロジェクトの成果が利用されており、その一つである国際協力プログラム(対象:東南アジア地域)では海洋プラスチックの発生経路や海洋環境への影響調査や、相手国の海洋プラスチック削減施策の支援などが進められている。一方、環境研究総合推進費「海洋プラスチックごみに関わる動態・環境影響の体系的解明と計測手法の高度化に関する研究」では、砂丘性海岸における漂着ごみ清掃活動のデータ分析や、急峻な崖下におけるドローン空撮技術に加え、画像処理によるプラスチックごみ検出技術の高度化がテーマとなっている。スマホさえあれば誰でも気軽に参加できる取組であり、参加型で作成、蓄積された情報をビッグデータ化することで、海洋プラごみ汚染研究の前進が期待できると述べている。