手持ち花火では国内トップシェアを誇る老舗メーカー「井上玩具煙火(静岡県島田市)」は、世界初となる『卵の殻』由来の手持ち花火「たまRe:(たまり)」を発売した。
「たまRe:」は、食品廃棄物である卵殻を再利用し、炭酸カルシウムとして花火の素材に活用したものである。地元の寿司店やスーパーから提供された卵殻を用い、化学実験などの試行錯誤を繰り返して開発された。商品名の「Re:」には、再生・循環の意味が込められており、環境配慮と伝統技術の融合を象徴している。商品ラインナップは、卵型花火1本と棒状花火(オレンジ・シルバー)各2本の計5本セットで、価格は3,000円(税別)。オンラインショップでの受注生産を基本とし、各種催事でも販売予定である。花火の特徴は、燃焼時間の長さと色鮮やかな火花、そして煙の少なさにあり、安全性と品質の高さが評価されている。
日本国内で流通する花火の約95%が中国製とされる中、同社は国産花火の価値を再定義し、環境負荷の低減と文化継承の両立を目指している。手持ち花火を「観る」だけでなく「参加して楽しむ」体験と位置づけ、夏の自由研究や祝い事の贈り物としての活用も提案している。